本当は存在しないもの
駄菓子の当たり
国境線
赤道
風
本当は存在するもの
自販機の当たり(たまに当たるんだぜ)
戦争
ひとり
花
地球儀にキャプテンがいる
片言の日 ....
本当はアホのくせに
気難しい顔ばかりしてた
ああ優しい人
何も言わないで
ごはん美味しいねって言う
美味しいねって返事したら
すごい幸せそうに笑った
私なんてつまらない人間
もう生きて ....
懐かしい場所に
行きたい
ただそれだけだ
この街で
この場所で
日々遠くなっていく景色を
一目見たい
それだけ
海と
山の神社と
坂の階段にいる狐と
その角の魚屋の匂い
灯台
....
迷路のような
思考の洞窟
雨が流れ込む
蛇の目
邪なものが降ってくる
指を鳴らすと
洞窟ごと落ちるのかも
蛇腹になる
私は
指を
鳴らされるもの
でも
水は
....
音もなく頑丈な扉を開き、入ってきたのは見覚えのあるような皺だらけの中年男性だった。
署長自らが直々に連れて来たので位の高い人物なのだろう。署長は軽く会釈を済ませるとわたしを指さしてすぐに出て行っ ....
成り得ない私は基本であり
素敵であるのだ
お城に王子
何者でもない私が王女になり
蒼いドレスをひらめかせ
真っ赤にはにかみ
無理してニコっと笑うのだ
「お祖母ちゃん、大丈夫、痛く ....
ある朝わたしは鴎になり
中央区永代橋の橋桁から白い小さな翼をひろげとびたつ
(そのときわたしははじめて空の名前を知ることになる)
江東区東陽町一丁目三番地
古めかしいビルの窓から
....
おだやかな
初夏の朝
気持ちのイイ空気を吸って
ぢめんにコインを並べる人たちが話し合っている
地球のほうはどうですか?
ところで、さざなみ、という言葉はいいですな
もしもし
あ。 ....
目に見えないから恐ろしいと思ったり、素敵だと感じることがある。
目に見えないから捨てられなくて、手に入れることのできないものがある。
見えないものに心が動くのは、僕らが考えるからで、
想像をしな ....
何か懐かしいこと
思い出しそうで
思い出せないまま
やさしい曇り空
包まれる
迫られるものはなく
小さな雑事たちだけ
転がっていて
待ってね、待ってね
と何回
さっきの ....
失ったモノはたくさんあるけど
落ちてくるイタミは数えきれないけど
降りかかる悪意は背中を刺すけど
愛は遠く遥か彼方に離れているけど
転がっている挫折にはまってばかりだけど
....
知らないふりを続けていれば
はじめから何もなかったことにならないかなぁなんて
街を見下ろすおおきなロボットのてのひらの上で
消えていくものに焦りながら
八つ当たりでも見当違いでも
振 ....
あゝ窓ガラス越し
物凄い空の青が広がって
自分が何処に居るのか
一瞬わからなくなる
地球、いや宇宙
そうだ、此処は地球という
宇宙に浮かぶ場所なんだ
まぁるく廻る星なんだ
それにし ....
性欲に満ちたこの大地になんで、何の理由があってここにいるんだろう。
人との関係には礼儀がなくてはならない。
そして礼儀の根本は愛である。
あいがあるところには ....
言語は解体され、意識の破片となって、冷たい寝床で検死医を待っている、風が鳴くような音は、体内に残留した空気が逃げ場所を探す音、死後硬直のトーンは灰色、アルミニウムのような冷たさだけがそこにある、空 ....
彼にとってどうでもいいことが、
彼女にとっての切実。
彼女にとって取るに足らないことが、
彼にとっての切実。
ため息と共に空に消えた君の透明な青春は、
今夜誰かの青い夢になる。
....
岩に立つ木
わずかな土へ
根を張り巡らして
風が揺さぶっても
雨が叩きのめしても
根は岩まで食い込み
倒れまいと踏ん張っている
あの木だけではない
生きている限り
どの木も
....
来た道を帰っていくだけなのに
頭の悪い恋人たちはいつも迷子になる
まぼろしのように遠ざかる土砂降りのテールランプを
おぼつかない足取りで追いかけるゾンビたち
38口径で撃ち抜かれた頭蓋骨に ....
小学校の教科書だったろうか
あの坂をのぼれば
海が見える
あの坂をのぼれば
海が見える
と繰り返す文章が
40年近く経った今も
あのときの少年たちの声とともに
ここに聞こえている
あ ....
最初に狙ったのは豚野郎でした。次に手を汚したのは芋野郎です。鍋に蓋をしてお釜で煮込めば消えました。お粥はいいなあ。茶粥には甘藷の薩摩芋。甘い芥川塩!コンニャク芋ではござりませぬ。蝗の佃煮。味噌 ....
どうか
この手が
だれかを
たたいたり
せずに
ありますように
どうか
この脚が
届けものを
とどけ
続け
られますように
どうか
この瞳が
まっすぐで
逸らされ ....
言ってやろうか 聞かせてやろうか
俺を産んだ女は無学で
字もろくに書けねえ読めもしねえ女だった
昭和二十年
この国は戦争でぼろ負けになり
東京辺りは焦土と化してしまったけれど
嫁ぎ先は ....
ここにひと{ルビ欠片=かけら}の記憶が落ちていた
天候にもよるが
ふいにキラキラとうつくしく光りだすから
この一片には
よほどの幸せとそれに彩られた日々があるにちがいない
と思われた ....
拡大する意識に
思考が浮遊し始める
感情の奥底に根を張りながら
わたしは別にあなたでもよかった
あなたがわたしのうちに体験されてから
あなたは別にわたしでもよかった
わたしがあなた ....
法則
{引用=山で
イノシシとリスが
談笑している
団栗と
木の実は
こっそりと交換される}
航海
{引用=海は平面を
船乗りに諭しつづける
地球の丸み ....
日暮れ前
誰も彼もが瞑り合掌し
高く掲げた花
賜りものか捧げものか
《2020年7月26日》
今日も僕は詩を書く
抱えているイタミを
癒すために
詩を書くということは
祈ることと似ている
読んだ人が
少しだけでも
元気になればいいと
読んだ人が
少しだけでも
勇気を ....
春はあけぼの
夏は夜
と謳った人が昔居るけれど
確かに
そうやって
自分の好きなものを
実際に
真剣に
数え ....
この部屋にも窓はある
背丈より少し高い壁にひとつ
開けるとカラカラと風
視界の遥か上を通過する
気持ちいいでしょ と声が聞こえ
ると 口、
涎が落ち、水脈になり、
萎れた花に
手が伸び ....
誰も家にいない
ファンタグレープを一人で飲む
日記なんて書かない
太陽
汚れたレースのカーテン
台所の床で裸
扇風機
団地の正午
その子は、誰も想 ....
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