幼い頃から不思議でない
ものには
興味がなかった
そのものが不思議を
孕んでいるときには
ときめいたものだ
大洋や星
深海生物や
ジュラ紀の森
型紙のないものが
不思議 ....
コロナ感染者が
人口の99%を越えたとき
巷では
こんな会話が囁かれるに違いない
「ねえねえ、あの人
まだコロナになってないんですって」
「えーっ!嘘でしょう?
今どきそんな人いるの ....
目を閉じて眠りなさい
死なないように
願いを掛ける時は
まつ毛の一本ずつを
短冊にしてみよう
流されて天に届く気がする
美しい寝顔のままなら
毒を飲むこともない世界で
明日が来るのを前 ....
自分というだめなものを持ち上げて
よいしょっと背負えるようになりたい
それができず
自分を引きずっている毎日
自分にがっかりし
がっかりしたくないがため
投げやりになる
日々
....
きちんと洗い物をしよう
ちゃんとご飯を作って
決まった時間に食べよう
幼稚園児みたいだな
こんな当たり前のことすら
出来ていない
天球と交信するとか
青色のアステカ蟻だとか
夢 ....
そんな日がきたな
こんな日がきたな
偶然だろか、明日はぼくだ
そんな日がきたな
明日はどんな
決まっている
ナポリタンはおいしい
みょうな味がたまらない
薬味としてはネギよりも好き
香りは最高の感情
みょうな味が忘れられない
みょうな人
仕草がたまらない
最高の薬味
千切れて仕舞った雲間に覗く天の架け橋すら救えない
此処はおわりがみえない苑。空の極、痴情
朱色の帯が滲んで透けるバタフライを知っているか
球体から瘡蓋が死んでいく、瞬きを覚えている
薄い川 ....
その昔
兄弟全員東大卒の将棋指しが
何故あなたは東大に行かず
将棋指しになったのかと訊かれ
兄貴達はバカだから
東大に行ったのだと答えたのは
とても有名な話だ
ところで
クイズが得 ....
くらしは繰り返す。
あたかもしずくのように。
ぽた、
ぽた、
いのちは繰り返さない。
昨日のくらしのように。
背骨を丸めて翼が生えた
誰かと重ならないように
うまく広がって風に吹かれて
ひとりで飛び回るたびに
空は遠くまで逃げて
どうしても追い駆けたくなる
冒険とさよならをした人には分からない
....
木漏れ日の熱源には
黒ずんだ記憶をひとつ落としていく
君のなまえも季節に置き忘れていくから
自転車を漕いで走り続ける
子どものように生きたかったから
立ち止まることは
あたらしい夏の眩しさ ....
光の矢はもう無数
うねる青のキャンバスに突き刺さり
神の息吹きはもう絶え間なく
熱風となりこの世界を掻き回す
)白衣の少女達、妖精のように
)黄色い向日葵達、満面の笑みで
)鳴き続ける ....
清い流れに沿い
{ルビ鶺鴒=せきれい}が閃くように飛んで
揺れるねむの花
ねむの花はやさしい花 と
誰かが云った
小さな手が生み出す
鍵盤の響きはたどたどしくても
その無邪気さで ....
蛾って
匂いを感じるための
大きな二対の
触角があるだけで
口がない
成虫になると
食べ物を食べることはなく
幼虫の間に食べた
栄養だけで生きてゆく
そして
雌のフェロモンを求めて ....
介護がこんなに辛いとは
今までの僕、夢思わなんだ
ボケながらなお
イキってなければ死んでしまう病
死んでほしくないので
さりとて忍耐の限界でもあるので
こうなればペシペシから
....
一面の希望が寝返りを売って
転じて興ざめする
傍らの空の花瓶が床に散らばる
合成繊維の解れた藍色
白目を剥いて割れたグラス
ひたひたに吊る炭酸水面上のハナヒラ
変容を遂げた紋白蝶の死
....
今は昔さ
いっとき一世を風靡したっけ
小説とそれを原作にしたテレビドラマのタイトル
思い出したよ
思い出したけど
世界の中心って何処だったんだよ
そこはきっと地球の中心からはずっと ....
{引用=信じられないことがある
それは一つの、収束}
帰ってきて皿を洗って、シャワーを浴びる。それからごみ捨てをして(妻にはいつもシャワー前にごみ捨てをしろといわれたが、どうにも守れない)、雑 ....
年の取り方が分からない
落ち着き方を知らない
若者を温かい目で見られない
余裕がない
一体どうすれば
往年の笠智衆のように
なれるのだろう
大坂志郎みたいに
振る舞えるのだろう ....
何があったか知らないけど
君のその表情だけで
夏が嫌いになりそうだ
風は凪
蝉が鳴いてる深夜二時
素直な夜は今日だけにする
世界が
造り物みたいに見える日
夜をひきずって
陽のもとへ出る
同じように見えて
異なる日々
今日の世界は
惜しい世界
ある日は
できすぎた世界
こ ....
ほんとうは、たたかうほうが好きです
若いことを踏み潰した、地続きの傷
なぞると忘れた横顔に似たきり、
痛みにしがみつくことなく
目を閉じます
白い配りもの、光って、子に散る声 ....
1)癌と診断された彼女の
ふわふわと帰路に着く足取り
おかあさんにあるがまま言ったらと
想像して
抱えることを選ぶ
2)
親の下の世話をし、食事を食べさせ
洗濯機をまわし
エアコン ....
水溶き片栗粉を養分に、さなぎの餃子は羽化をする。
安アパートのキッチンで、輝かしい生命の進化です。
縁側で
ぷっと
西瓜の種飛ばし
放物線の先を
追っている
幼い子供が
独り居て
遠い夏の日
夏の午後
その日を生きる
幼子が
風に吹かれて
風に吹かれて
名無しで ....
枝分かれしていく言葉がゆれる
きみのすべてをぼくが知ることはないということ
水のなかに流れる時間 時間のなかに生まれる空
たくさんの景色が人と人とのあいだにあって
知らないきみのことが何故か好 ....
畦草を揺らして
蛙の声がうねっている
鳴けるのは
今だけ
この青田だけ
頑固者は
喚くだけ喚き
生まれたちに拘り
季節に身を任せ
素潜りする
土の中で考える
肩書も ....
今日も
意識を想像の海に遊ばせて
精神の懐かしい場所に
ゆっくりと降下してゆく
そこに見えるのは
青色の巨大なアステカ蟻の行進
それは僕の意識の辺境まで
延々と続いてゆく
空には金色の ....
過去の嫌な事は極力忘れたい
その反面
良い事は記憶のアルバムに貼っておきたい
それは誰だってそうさ
良い思い出によって悪い思い出が駆逐されるなら
それに越した事はないだろう
過去の ....
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