文章の森に
本の生る木があった
こっちの枝には推理もの
あっちの枝には時代もの
てっぺん辺りに専門書
棘の節には官能小説
若芽には児童書
ある日のことである
その木に甘い砂糖のような雷 ....
朝6時、目を覚まして
ひとり、鏡に微笑むの
「わたしはきょうもげんきです!」
口の端引っ張り笑うんだ
「大丈夫、私は元気だから。」
所詮、誰も気づかないよ
いつもの電車
みんなやっぱ ....
明後日の風が
薄い緑に見えるのは
わたしに宿る
かすれた色眼鏡のせい
閉店の知らせばかり舞い込む
メールボックスには
この世でたったひとつの
返信が届かない
山羊の顔して探すだろう
....
すっかり日々は暖かくなり
桜もいよいよ開花間近
なのに私の心は鉛の様
不安と恐怖が波打って
奥底から沸き上がる
(昨夜は凶暴な悪夢に襲われ
汗みどろで目が覚めた)
すっかり日々は暖か ....
別離
色々
成長
再度
米って左右対称じゃない
犬歯のように少し欠けてる
その犬歯みたいな米は
臼歯で噛むと甘くなる
そういえば
オオカミの犬歯を
あの人はお守りにしていた
もっと噛んでくれてもよかったのに
白い皿をニトリで手に入れたのだ
栗を置くための土台として
アスファルトには一体何が置かれるべきだろう
ゴムボールを手に 考えていたのだ
居場所がなくなって
途方にくれてしまいかけてる
キスなんて一度か二度しただけ
そんな唇を舌で舐めても
そりゃ渇いているだけさ
日は落ちて
周りは昏くなっていく
ためしに心臓止 ....
ロザリーは十五才
廃業したスクラップ工場の敷地の外れで
ハーケンクロイツみたいなかたちになって転がってる
もう腐敗が始まっていて
あらゆるおぞましい虫に集られて喰われている
ささやかな雨 ....
昨日はある種の
速度を持つ元素としてここに
いた
今日は光の
粒子に貫かれることもなく
膨張する淡い影として徐々に
体積から解放される
シーツの皺の奥に
隠された温度のように
....
{引用=焼香}
{ルビ鶫=つぐみ}を威嚇する
{ルビ鵯=ひよどり}の
声は形より
広々とこまやかに
震えた
春の微粒子
住宅地の雪解け水を
長靴で測り
黒いコートに受ける
日差しを ....
「海をすてた」
海をすてた
いっぱいだったから
外に捨てた
外は広いから
海はしずくにみえた
にんげんが
外にいったら
ちいさすぎて
なんだかバカみたいだ
だからぼくは
ここ ....
絵柄のないパズルでも揃えなきゃ
無ってそういうことなのかも
湯気のような靄のような
差し込んできた光か照らし出された明かりか
今はどちらとも信じたいと思った
失ったものや別れた人や
....
3月 弥生 トロイメライ
春風 果てしなく 暖かい
坂の 彼方の 高台へと
ゆっくり 歩いていこう
月光チタンの夜を過ぎ
冷たい鈍色の夜を抜け
奈落と雪洞の夜を耐え
かねて
ぼくは ....
無垢材の床から生えた
食卓を囲むのは
夕食に溶け込むものたち
温かい具材と
きみたちの持ち帰った
新しい顔や手と足が
食卓の根元から二つに伸びて
時間のように
辺りを満たす
泣いてなんかない強いから
何点なんか気にしてないよ
ひとりで生きていけるから
パッカーで世界一周するよ
この命にはぬくもりがある
普段は感じないけど
強く感じる時がある
上手く言えないんだ
表現力ないしさ
毎日がややこしく過ぎて行くけど
それだって
そのうちに
ピリオド打たれるん ....
昔、愛した女の庭には
大きな花桃の木があった。
その木は
春になると
その女の唇のような
濃い
桃色の花を枝いっぱいにつける。
その花びらひとつひとつは
どうしてもその女の爪の ....
葉っぱが
ひとり遊んでる
くるんと
まるく
じぶんをすてて
も一度
ハラり
わらって泣いて
あたたかさはいつも
敵わないほどに傍らで咲いて
叶わないたびに散り
地面をひたすらに覆い尽くす
しあわせという匂いにむせて
風のつきあたりでは
くるくるくるくると
止むことなく空へ ....
血の色を塗り固めたような阪急電車と
薄い水臭いグリーン色の市バスが
....
廻る廻る大地が廻る
壊し創る力は無尽蔵に
無作為に選ばれた人々の
哀しみの雨が降り注ぐ
(世界は只残酷に美しく)
廻る廻る大地が廻る
次から次へと命は芽吹き
哀しみの雨は
もう ....
寝ている時以外ずっと書いていて
目を悪くした
ひどい頭痛に見舞われている
図書館で
フジモトマサルさんの
『夢みごこち』を借りて
それを今
1メートルの距離をとり
眺めている
....
「おはよう雨さん」
細かな雨の
パラパラの
春の西風に煽られの
窓にカツカツの
それは
とてもとても
うつくしなじかん
ふふふ
半分ヤドカリ
....
やあ
おはよう
詩集を読んでいるんだね
リルケか
どうだい感想は?
そうか
つまらないのか
世界には
リルケを楽しめる人が
大勢いるのにね
そう君は
リル ....
寒さはもう感じない
生暖かさが
ウキウキ感を連れてくる
何をやっても上手くいくような
何とも言えないポジティブな流れ
新年度が始まり
落ち着かない日々が続いても
嫌な気持ちになら ....
・575
補助輪を 山ほど付けて共倒れ
奢りだの 親分子分 はした金
座布団か拍手でお迎えくださいませ
獄門の 上にもぬけのカタツムリ
陶酔で水捌けよくして泣きじゃくる
ウイスキーと ....
少し高めの なるべく太い枝に飛びついて
ぶら下りながら 木の幹を歩き上がり
背面飛びで足元から滑り込むように あの枝に座り込む
もうひとつ上に行けるかな 立ち上がり
手をかけ ....
あなたが嫌いだから
あなたとは距離を取りたい
あなたといると
私が私じゃなくなる
あなたと一緒にいたら
耳が聴こえなくなった
あなたは私を支配する
あなたのために微笑むことはもうない ....
どうにもこうにも
食指が動かねえ
こんまり師匠の言葉を借りれば
「ときめかない」ってことだろうさ
わかってるかい
そこのキミ
490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
3.61sec.