二〇一五年十三月一日 「芸術は自己表現はない」
自己の表現と、自己表現は違う。2015年9月29日のメモ「いまだに芸術を自己表現だと思っている連中がいる。きょう、職場で哲学の先生たちがお話 ....
遅れて歩いてくる足音につい気後れがして
わたしは膝をついたまま下向きに歩いて行く
自転には追いつけない針を進める (
) 氷の幕を滑り落ちる 人鳥
乾いた靴の底を ....
連綿と続く人生の
響きの中に目覚めていて
この生の端緒と終点が
螺旋を成し繋がっていくのを
底の底で見つめている
それは焼け野原に咲く真っ赤な薔薇
何処にも行けないと知っていて
静か ....
反転した
薄暗い影の
なかに
取り込まれて
居た
なんだったかな
何処だったかな
うちゅうの窪みに
休らって
然るべき場所に確保され
受け留められて
ふわりと明るみ目覚めた
午 ....
透き通った世界の境界には、透明な獣がいて、澄んだ夜を吠えている。明け方の明星を夢みて、夜明けの明けない空に遠吠えをする。透明な獣が夜空を嘆く時、そこには無限の連なりと重なりがあって、透明な獣を優しく ....
……けだもの、というか、透明な鳥めいた幻がこんな物を落としていったの。
「自由を選び取ることにそれほどの困難は伴わない。それは緩やかな坂道を登っていくようなもの。腰を下ろしたいところで腰を下ろ ....
熱鉄を逆さに飲んで
それでも表現したい事があるから
私は生きて
詩を書き続けているんだ
哀しみよ
退散せよ
苦しみよ
お前の喉笛を噛み千切ってやる
喜びよ
我が胸に燃え上がれ
いつ ....
夜になれば大勢で輪を作り
キャンプファイヤーを行う
燃え盛る炎を見つめて
ネガティブなものが身体から抜け
身軽になった自分に気づく
炎を見つめているだけで
気持ちが高ぶって普段の自 ....
とちゅう、
夢があった
道端には
夢が咲いていた
そのあまい匂いの中で
女や、
またべつの女と
いくども寄り道をした
険しい道もあった
転がったオートバイと
鮮血を敷いた少年の死体 ....
うちのめされて沈んでゆくこと
笑顔で泣くことを
進化というならば
理科などは信じられないね
そうだよ
きみは菌じゃなくて
真夜中の蒸し暑さや清潔な水をのみ干して ....
奇妙な三角関係が続いている
愛されたい自分と愛したい自分
互いに譲らないし干渉もしない
向かい合ったままで、そして
もう一人が居ない
お茶はお代わりの分まで用意してある
傷付ける言葉ももち ....
最近フェイスブックに登録して詩歌のグループに三つ参加した
そこに投稿すると反応がすこぶる良い
フォーラムでは到底味わえない感動がダイレクトに伝わってくる
だったらここへは来ないでって
言わ ....
非常に残念なお知らせです
自称詩人が嫌いで
自称詩人を殲滅することに
その生涯を捧げてきた
花形新次さんですが
先月28日に
検査を受けた結果
HbA1cの値が6.8から5.2に
下が ....
....
ことばは、はっした時点で幻になる。
よくも悪くも。
ね、みみをもつってそういうことだよ。
幻のみみは幻を受けとれる。
昔、にんげんのみみがとても好きな王様がいて、
その王様は ....
*
ブルームーンの流れる河は、あなたのポケットのなか 粉末ジュースを呑みすぎた子供時代のような夜がそっと手をふって花になる朝 韻頭を失った詩がどこまでも誘うからか、スカートが皮膚 ....
こころは
小雨あとの
路傍の石のように
こころは
鼓動もせず
虹を見てなをふるえず
明後日のほうばかりを
らいごうらいごうと
ずっと眺めてる
終らない話へ ....
未来
VS
現在
願望
VS
現実
惰性
VS
怠情
何も思わない
そんな午後は 何もしていない
何を耳にしていたのかすらも
忘れてしまった 何もかも
覚えていたとしたら何であるのかが
何か 僕にもわかったのだろうけれど
遠のく遠のく
端折るは節なり
遠のく遠のく
ぐるり愚弄の
くぐもれくぐらせ
積もる紅とて
春よ春よと
枯れ草の聖なる
踏み絵の踏み締め
心音待てり
苔むす天の訴えたるは
舌の先に ....
今日ごみの分別作業中
精液のはいったコンドームが破れて
分離した水分が飛び
まつ毛にくさった滴がついた
そのうち
誰かが屍体の口をこじ開け
金歯をペンチで引き抜く時代が来るだろう
そ ....
きみはぼくが
スラックスに隠した
キャンディがだいすき
いつでもどこでも
頬張りたがって
ねえ、ねえ、とおねだり
ぼくは、待ってね、と言い
人目を避けて
さっと取り ....
アーティスティックな人に
なりたかった
カッコいいと思った
だから
アーティスティックなことには
片っ端から手を付けた
でもどうにもこうにもならなかった
それでも自分はアーティスティック ....
妙に黄ばんだ手や足が
あちこちから突き出ている
それを盛んに啄む烏の群れ
何とも滑稽な有り様じゃないか
ここでは全てが透明で
誤魔化し得るものは一つもない
時折黄色い犬どもがやって来て
....
国道の信号を過ぎると、畑があり、ゴルフ練習場があり、畑がある
モーテルがあり、また畑
朝夕の通勤道路を聖火ランナーが走る
出勤する時は、聖火リレーの前で
帰宅する時は、走った後だった
....
ある日のディナーは
皿に憎しみが盛られていた
ナイフとフォークを器用に使って
切り分けてみる
憎しみは固く怖気がするような酷い臭い
一切れ口に運ぶと毒の味がした
私は一切れ分の怨念となり
....
私の母は
元ジャイアンツの堀本という投手が好きで
(堀内ではない)
その理由が味方がデッドボールを受けた
次の回に、いきなり対した打者の頭に
ビーンボールを投げたあと知らん顔して
後ろを向 ....
晩酌は水割りのグラスを手に
ピスタチオを口に含み
わった殻を小皿へ落とせば
ちりん、と鳴る
世界のあちらこちらに
美しい雑音たちは
今も
音を鳴らしている
さあ明日も ....
信じられないわ
双子の兄がいるなんて
私と同じ顔をした誰かが
この世のどこかで暮らしているなんて
家族はいっさい教えてくれない
両親は口を閉ざし
祖父母も目を逸らす
けれど間違いない
....
朝寝坊
五月病
仕方ない
言い聞かせ
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