久々に寿司屋の暖簾をくぐり
独り腰を下ろす
机にはコロナ対策に透明の板が立ち
私の人影がうつる
お猪口に注いだ冷や酒が進み
硝子の徳利も軽くなる頃・・・
影がそっと囁いた
──お ....
ミューズとミミズが離れた後に
歌はまだ残されているだろうか
似て非なるものだったのだ
というより
非なるも似たものだったのだ
それゆえに光があった
高い塔に登り
場合によって ....
愛は
返すというエネルギーの道筋が認められて初めて
愛となる
それがなければただの営みだ
見返りのないものが愛ではない
見返りの消滅したものが愛なのだ
道筋は葬り去られた
轍とな ....
胸が痛んで眠れずに
窓を開けて星をみる
横で寝ているこの人の
明るい寝言に救われた
月が朧に虹を架け
見知った罪が夜駆ける
黙っていたけどあの罪は
きっと死ぬまで夜を往く ....
・ ・ ・
今年の森の地図が
そろそろ終わりだから
恵みにあやかりたいと
降りた自転車を立てかけた
裂け目のような木の下闇からは
あからさまな拒絶の気配を感じたが
それは人間 ....
「ヨラン、お前?」と、アイソニアの騎士は叫んだ。
「騎士様。……その疑念よりも先に、お答えを述べさせていただきますね。
わたしは、魔導士ではありません。ですから、先ほど放ったのも魔術ではないので ....
ざざん! という衝撃波が、一行を再度襲った。
アイソニアの騎士は、依然としてエビ・グレイムの体に取りついている。
ヨランは、「ちっ」と舌打ちする。この盗賊がその心をかいま見せることなど、
滅多に ....
アイソニアの騎士の苛立ちはもっともだった。ヨランですら、いらいらしていた。
だが、オーマル・リケイディアの言葉には、
「強い者は強い、弱い者は弱い」といった、冷めた響きがあった。
彼女は何がしか ....
夜のしじまがそのときは
そっと破られ青くなる
波がゆっくり帰るとき
風も優しく微笑んで
さよならさよならさよならと
別れを惜しみ消えてゆく
浜辺は ....
楽しい時に
悲しいことを考えて
その隙間を埋めるために
同じ場所を周った
悲しいことが消えなくても
紙袋に入れて
置き去りにした
バスの停留所
プレゼントを買い忘れた人が
持 ....
アナタはどこまでいくの?
この日暮れ
没する太陽を追って
論理を振りかざし
他者を屈伏させ
アナタは既に行き止まり
燃えたぎる溶岩流
散りゆく赤い花びら
あらゆる響きを融合し
....
神話になぞらえ視界をねじり
燃焼する画角から身を伏せる男
口笛と銃痕を残すように
霧の中から淡い筆がきて
何もかもを塗り潰す
腐れるあらゆる匂い
精神分析医は語る
線と色と画触のフォ ....
欠けた
風の赤い器
人の形に
ほつれた糸
君はいま、何処にいる
手を伸ばしたら触れられる
忘れ形見を
いつも優しくできたなら
かじかむ蛍光管
この薄いセロファン
色から ....
俺は歯医者に通うぜ
俺はやまもと歯科に通うぜ
俺はいつもやまもと歯科に通うぜ
....
○センターラインのない道は
怖い!
じいちゃんたちは
カーブでも
ど真ん中を走ってくる
○「おじいちゃん、赤だったよ!」
「急には止まれないよ!
急に止まったら追突されるよ!」 ....
二〇二一年十月一日 「世界SF全集 第31巻 短篇集 古典篇」
『世界SF全集 第31巻 短篇集 古典篇』が到着した。非常に良い状態だった。満足。 https://pic.twitter ....
アメリカのボスが最後に向かってきた
わたしはすぐに口火を切った
「アイム ソー ソーリー」
アィマレバ ソレデ スムネー
「アイム ソー ソーリー」
アィマレバ ソレデ スムネー
「アイム ....
心理の奥だけで生成される言葉がある。
それはおよそ会話の中で表現されることのない領域であり、わざわざ潜らなければ掬い上げることなどまず不可能なものである、深海魚のようなものだと思ってもらえば ....
転ばないよう気をつけて歩いた
人生は長い長い細道だから
人はいつから踵を付けて歩いているんだろう
早く恋を知りたくて
だけど愛はまだ要らなくて
先に月に向かった貴方が寂しくて死んでしまわない ....
いくつもの閃光が、エビ・グレイムの目から放たれた。
それは、ヨランたちが立っている大地に、火柱を生む。そして、衝撃。
──衝撃波は、盗賊ヨラン、アイソニアの騎士、そしてエイミノアを薙ぎ払った。
....
だが、アイソニアの騎士はぶつくさと一人ごちていた。
「エインスベル……世界の救い。そこに立ちはだかる『魔女』という言辞……」
それは、エインスンベルのあるべき姿と、厭うべき姿とを、
重ね合わせた ....
「過ち? それは奇妙な言葉です。あなたがたはすでに、ダルザジアの群れを追い払いました。
それは、このハーレスケイドにとっても良きことです。
わたし、オーマルは、この世界の代表として感謝いたしま ....
哀しみの声が
何処までも伸びていくとき
限りなく独りで
魂の神聖な場所へ
融合する
明日、土の下に
埋められてもいいように
深いあこがれを抱いて
壊れた肉体の神経感覚系に
復讐し詩の ....
風になりたい
ただの一陣の風に
君の胸奥深くに届くように
ヒマラヤを越え
天空を越え
昏い宇宙に届くように
ただの一陣の風となりたい
昨日より今日
今日より明日へ
そして宇宙の初まり ....
僕は結婚して長い間女房は
屁をひらない女だと思い込んでいた
しかるに今は
僕の前でも「ブー!ブー!」やっている
「ああ!すっきりした」などと言って
恥じらいもなにもない
ここまでゆるんでし ....
ああ
今日もまた
私の微笑みを見ようと
大勢の人々が
この美術館を訪れる
謎の微笑み
なんて言っているけど
これが笑わずにいられようか
大笑いしたいけど
淑女としては下品 ....
わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない
わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
....
むろんとーぜん、してますよ
よふかし
駆けても、走っても、跨いでも、いませんし
したら必ず幸せになれるって訳でもないののに
しちゃってますよ、
よふかし
いまが人 ....
天空に
明るく輝く満月は
わたしの意識に
瞬間、響き捉えられる
君はパンクが好きなのか
富士ロックで
押し潰されそうになりながら
踊りまくったのか
満月は天空を上昇し
家々の ....
読者にはまず、このことを思い出していただきたい。すなわち、
ハーレスケイドは時間が止まった世界である、と。
ここ、ハーレスケイドで何万年の時間を過ごそうと、
現世であるアースレジェでは、何秒の時 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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