晴れているのはしあわせ
雨が降るのはふしあわせ
傘を差すのはしあわせ
目が乾くのはふしあわせ
日曜はしあわせ
月曜はふしあわせ
出会うのはしあわせ
知らないことはふしあわせ
いいや
どうだろう
しあわせは
黒猫の
なめらかな背の上を
滑り落ちる
ふしあわせは
朝の
電線か
自称詩が
他人に与える幸福度は
-5000ブータンと言われている
ちなみに
1ブータンは
かなり大きめの鼻くそや耳くそが
やっと取れたことに相当する
-5000ブータンは
頭の真上に
原爆が落とされること
(-4980ブータン)を
若干下回る
無駄な時間と言う方は、私が詩を書く幸福を知らない
それを対価に幸福と捨てるものがある
人生は、全てがそのような交換の連続だ
僕の目の前で
若いアベックが
手をつないで
楽しそうに
家族湯に入っていった
僕好みの女だった
この地球に存在する人間は
大地を侵し
大海を侵す
ガン細胞かもしれない
でも、こうやって幸せを甘受し
生続けている
煩悩即菩提という言葉を聞いたことがある
百八つあると言う煩悩は
人は苦しみと
幸せの両面を持つ存在だ
虫も魚も爬虫類も哺乳類も
石も宇宙でさえも寿命があり
窓から仄かに日の射す部屋で
幸福の手紙を綴る少女は、顔をあげ
無心でキャンバスに向かう男を
ひと時――みつめる
少女のまなざしは
幾百年を経て
遠い異国の美術館を訪れた、僕へ
届くことも知らずに
目を閉じる僕は――聴いた
額縁の中で微笑む少女と、僕の間に
体の透けたフェルメールは、腰かけ
キャンバスの余白の(少女の袖)を
黄色く埋めてゆく…微かな、筆の音を
....
今日の私の幸福は、朝早く目覚めること。昇る太陽を感じることに感謝する。
今日の私の幸福は、朝御飯を食べること。食べることが出来ることに感謝する。
今日の私の幸福は、野鳥の声を聴くこと。聴こえることに感謝する。
今日の私の幸福は、素晴らしい自然を見ること。見えることに感謝する。
今日の私の幸福は、四季を感じること。日本に生まれたことに感謝する。
....
幸福な人よ
あなたは一度死んでしまった
かつて巨大な飢えに引きずられて
ひたすら哲学の研究で自らを満たそうとした
探求の徒としてのあなたは死んでしまった
あなたは次第に人々に囲まれ
愛する奥さんと巡り合い
可愛いお子さんまで生まれ
医者の仕事に就き
もはや何も飢えるところがない
あなたにもはや哲学は必要がなく
運命はあなたから哲学を永遠に奪ってしまった
あなたは....
あばずれ女が10万ルーブルの札束を
暖炉の炎に、投げ込んだ。
自らの純愛を置き去りに
去りゆこうとする女の狂った有様に
身を震わせる白痴の男の
頬にはひと筋の涙が伝い…
暖炉の周囲を野次馬の面々は囲み
がやがや呟きあっており
あばずれ女の瞳にも
一滴の涙は光り…
人々の背後に、偶然訪れた旅人の僕は
暖炉の中に手を突っこむ勇気も無く
喧騒から、少し離れた場所に....
――K.F.へ
あなたの体に鋭い輪郭はあるのだろうか、そしてあなたの心に?空気も光も柔らかく、あなたと混じり合いながら跳ね回る。あなたは驚いたような顔をしたり人を見つめたり泣き始めたり手足に力を込めたり、まったくの偶然のようにこの世に挑んでいる。あなたは私たちの見えない乳房を吸い尽くし、痛いほどの幸せで空気を染め変えてしまうのだ。
あなたはたくさんの幻を背負っ....
先進国って前人未踏だ
お金で買える幸福だ
金融の出し入れで
整形美人が幸福になれるかの実験中
ルーブルだって資源のバブル次第
元だって暴力的な需要次第
ドルだって決済通貨であること次第
整形美人が幸福?
幸福ってなんだふざけんな
そんなもの求めてるのは誰なんだ
相対的なものなんだそんなもの
ふざけんなふざけんなみんな
....
人間の行為を肯定するために幸せは捏造されました。仕事、ギャンブル、放浪、それが幸せであれば許される、そんな風に幸せでもないことが幸せ扱いされましたが、当の幸せ自体は空っぽの何でもありでしかなかったのです。幸せが空虚であるところから人間の幸せへの希求は始まるのです。人間の行為は大きな悲しみに向かっています。あるいは大きな喪失、大きな怒り。人間は梯子を掛け違える生き物です。掛け違えることでしか....
どうしてそうできないのと
問われ俯くばかりのゆうべ
手渡してくれるしあわせマップ
そうできたら「」に近道
ごめんなさいってしあわせマップを
焼べながらみる隣りの芝生
うらやましいと誤解して
誤解と五回つぶやいて
遠まわり遠まわり
したくてしてるわけじゃない
遠まわり遠まわり
したくてきょうもやっている
どうしてそうできないの
やさしいひとたち問うて....
幸福に生きる事が
祝福であるなら
孤独であっても構わない
幸福に生きる事が
この世界そのものであるなら
私たちは等しく孤独である
遠くで雷がしている
光は見えない
雨も降らない
ただ暑いだけだ
おっさんの端くれとして
バスに乗っては降ろされ
名所を歩いてはまたバスを待つ
バスの車窓から街を見つめる
このひとたちの幸福とはなんなのだろう
それはそのまま
自身にとっての幸福とはなにかという問いになる
ひとびとは暇つぶしをしているようにも
切実を抱えているようにも見える
自身もまた暇つぶしをし切実を抱え....
駅に向かう坂の途中に咲いている朝顔に人形の首がぶらさがっている。天気は訪れる時期を間違え続け、今日も橙に人々の肉を染め上げている。鉛なのか鋼なのか定かではないが、いつでも重い金属が鼻孔の奥に挟まっていて、さらには脳梁に向かって硬い花弁を差し向ける。私は異形の者。人々は私を普通に扱ってくれてはいるが、醜く気持ちの悪い私を憐れんで優しくしてくれているだけ。私は人間を超える以外に道はなかった....
なみだがとまらない
手首でぬぐうと
雨がたたく音がする
ねえ
ぼくのために
マッサージを予約してくれないか
そとは雨だ
想像する
どんな思いをして
なにを越えて来たのか
なみだがとまらない
手首でぬぐうと
雨がたたく音がする
ねえ
ぼくのために
マッサージを予約してくれないか
....
幸福は、煙のようなもの
しゅるる…と宙に消えては
ほら
気づけばそこに、漂っている
時空のゆらぎを感じて漂う心情。
ある時は旅情となり、またある時は慕情となる。
孤独に縁どられた私の過去の墓標の前には、
今はもう懐かしさを感じさせるものばかりが並んでいる。
私が嫉妬をしない事に腹を立てた先輩がいた。
他人が争うのを冷めた目で見ている私を冷たい奴だと呆れた同輩がいた。
部下の失態を全て自分のせいだと腹をくくった私をお人好しだと笑う後輩がいた。
感情を表に出すの....
俺が生きているだけで不幸な人を作ってしまうだろう
俺が生きているからこそ幸福に気付く人もいるだろう
不幸な人を作ってしまった罪はこの背中で背負って苦しもう
幸福な人の嬉しさや喜びはこの胸に秘めて噛締めればいい
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