[10]楢山孝介[2008 05/05 03:05]★5
「オーロラの渡り」(小池房枝さん)
今年も極北から
偏北風に流されて
見慣れたオーロラが渡ってきた
突然変異した自然現象
変異体は変異体を産み
光の速さで進化は進み
今や分類不可能となった幾億種類のオーロラが
新たに生まれ
また滅び
風に散らされ
海に溶けていく
我が家の建っている土地はかつて
オーロラの観測が可能な
最南端に位置していた
観光客を迎える宿として
他の多くの家々とともに
長い間栄えてきた
今では少しでも寒いところがあると
オーロラたちは
何のありがたみもなく現われてしまう
もう誰も泊まりには来てくれない
長年オーロラに頼っ
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