バイト帰りの国道一号/haniwa
 
のジェッペルのなかで
僕の声は響かずに消え
十六輪トレーラに踏みつぶされる
右にあるのは僕の体がそのまますっぽり入りそうなくらいに巨大な回転するタイヤ
左にあるのは排気ガスで黒く汚れたガードレール
僕にとっては家とバイト先を繋ぐだけの道
けれども僕は世界がそれで終わりじゃないことを願う
僕の向かう狭苦しい部屋がただ旅の途中で立ち寄っただけの安宿であることを願う
巨大すぎる車を自由自在に操って、彼らが世界中を旅するような気持ちでいることを願う
彼らも歌を口ずさんでいることを願う

僕の知っている旅の歌が尽きかけるころ
原チャリは荒い息をつきながら駐輪場にすべりこむ
そして僕はヘルメットを脱いで部屋にあがり
タバコを一本吸う
窓の外、遥か遠くに通り過ぎる車の音が聞こえる
彼らがどこに行くのか僕は知らない
あの道路は東京都中央区の日本橋と大阪の梅田新道交差点を横浜・静岡・名古屋・四日市・京都などを経由して結んでいる
そして、そこから先も無数の道が世界中を銀河のように走りまわっているのだ
   グループ"にちじょうの、あれこれ。"
   Point(6)