母と木の葉/士狼(銀)
 
母が零した水がテーブルに広がる
その小さな湖にナプキンペーパーを投げ込むと
木の葉みたくひらりと堕ちた

着地した瞬間から水を吸い始め
自らを濡らしていく
染みは生きているように
時に速く
時に緩く
湖を渡りきり木の葉は半透明になる

紙にされても
木はまだ生きているのかもしれない
枯渇していたから
こんなにも水を求めるのかもしれない

そう呟くと
水浸しのナプキンペーパーを片付けながら
変わらないね
と母は静かに笑った

その手は渇き骨張っていた
頭を撫でてくれた頃の
あの艶やかさは無く
   グループ"にちじょうの、あれこれ。"
   Point(7)