記憶の断片小説・ショートシネマ 「ロイド」/虹村 凌
 
のベッドで、僕はパソコンを開いて、メッセンジャーを起動させた。
直後に僕は、ロイドとチャットを始めた。

彼女は、失恋してしまった。
大好きな彼氏と別れてしまった。
僕は、彼女の話をずっと聴いていた。
ロイドが彼氏を大好きだった事も、思い出の話も、
冷蔵庫が彼氏の大好きな食材で埋まっていて、
冷蔵庫のふたを開けられない事も、何も食べられない事も。

僕は、この時点で既に彼女に恋していた事が明らかになった。
ここ現代詩フォーラムに入ったのも、この時期で、
投稿した詩を読んでいると、どうやら既にロイドに恋していたようだ。

あぁ、彼女は今、あの暗い部屋で泣いているのだ。
そう思うと、僕は苦しくなって、飛んでいきたい衝動に駆られたのだった。

「あーもう、今すぐ飛んでって抱きしめてやりてぇよ」
「うん」
「俺の胸で泣けよ」
「うん。ありがとう。」

僕も泣いていたのだ。
嘘でも「うん」って言ってくれたのが嬉しくて、泣いていたのだ。

僕は、彼女に恋をしていた。
そして、沢山の詩を、彼女の詩を書いたのでした。
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