「その海から」(41〜50)/たもつ
44
雲のお墓に
壊れた自転車を捨てに行く
途中、虫の社宅に
陽光は惜しみなく注ぎ
非番の者が平たくなって
ベランダに干されている
星の準備に忙しいのだ
45
レールはきみだ
枕木はぼくだ
二人で寝転んで
そのまま
今日も電車来なかったね、と
ぼくらの地下鉄ごっこは終わる
46
鉄棒の近くで
あなたの柔らかい体を拭く
懐かしい感じしかしないのに
あなたの背中には汗疹があって
僕にひりひりと痛い
前回りを一回して
タオルを洗いに行く
逆上がりは
あなたが死んでから
練習しようと思う
47
馬は
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