哀しみ皇子(4)/アマル・シャタカ
 
いんじゃないかって、ぼく思うのだけど
オジサンはどこか遠くを見ている
甲羅の入ったグラスは空っぽで、ついでに心も空っぽみたい
ぼくも甲羅を啜ってみるよ、未来の味だなんてオジサンはロマンチスト

「皇子、この星の中に俺たちがいるから、海が液体に見えるのだとしたら?」
オジサンはゼンマイを巻かれたおもちゃのように、突然に目覚めて言う
そんなこと言われてもねえ・・・ぼくには難しいな
「じゃさ、これならわかるかな
じつはこの星を宝石に変えたのは、俺のご先祖様だ」

またあ

「ウソじゃないって
ずーっと大昔に、この星が恋をしたんだ」

え?相手は?

「あの月さ」

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