哀しみ皇子(4)/アマル・シャタカ
ぼくは腰が抜けるという言葉の意味をはじめてしったよ
あ、抜けてはいないけど、ごめんなさい、ウソつきました
「この星はあの月が好きだったけど、どうしても振り向いてもらえなくってね
そのころのこの星は、今みたいじゃなくて
こんなに近くに二人はいるのにって、泣いたそうだ
それが海になって、いろんな生き物が生まれたわけなんだけど
ご先祖はその話を聴いてな、哀れに思ったから、この星を宝石に変えてあげたらしい
だから、この星は丸いし、その美しさに気がついたあの月が、ずっとこちらを見るようになったってね」
とうさんがよく、かあさんに、大人の本とかいうのを隠していて
見つかったときに、(言
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