哀しみ皇子(6)/アマル・シャタカ
ていきますから
それを見て、哀しむことができるということは、マニュアルのいうこととは違うと思いますね」
うーん、やっぱりそうかあ
ぼくはあの変な人に会わなかったら、そんなことも考えなかったなあ
売り子さんは、自分の話に熱中してきちゃったみたい
とうさんもそうだけど、大人ってすぐにこうなるよね
『日本海』のつまった籠を他の席において、寄りかかるようにして
売り子さんは、ぼくに話しかけてくる
いい忘れたけど、優しそうな女の人なんだ
すらっと背が高くってね
どうしてみんな悲しみ鉄道(株)にいっちゃうのさ
「悲は『心に非ず』と書きますから、ゼスチャーなんです
誰しも感情的に
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