哀しみ皇子(8)/アマル・シャタカ
くは驚いた
そりゃあ、ぼくだって哀しみ皇子ってあいまいな名前ではあるけれど
「でも、花子でいいわよ、ここでは私を指すことには違いはないのだし」
そうなんだ、うーん、なんかちょっと複雑な気分だけど、ぼく
花子さん、ここではどうして鏡はないの?駅のおトイレにもなかったんだけど
「鏡はね、自己愛を増幅するからよ
まあ、これはある人が提唱した説でしかないけれど」
じこあい?事故にでも逢うの??
「うふふ、そうね、事故みたいなものかもしれないけど
自分を愛することが強くなってしまうってことなの」
それっていけないこと?ぼくは、自分を愛するように、他人を愛しなさいって
そう教わったよ
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