哀しみ皇子(8)/アマル・シャタカ
つのことが、ちょっとよくわからない
花子さんは、食事を作っているらしい
太郎さんと哀しみがお風呂に入っている間に、花子さんに話しかけてみた
ねえねえ、花子さん
「え?花?・・・ああ、私のことね」
花子さんは、ぼくの呼びかけに少し驚いたようだった
だって、花子さんでしょ?
「まあ、そうだけど
本当の名前は違うのよ
ただ、ホラ、ここには、あの人と私だけで、呼び合うときも、お前とあなたで
元々の名前は呼びにくい名前なのよ、二人とも
だから、ここで二人のときは本名はいらないし、尋ねて来る人が呼びやすいように、って
太郎と花子は、あの人がそうやってつけた仮の名前なのよ」
ぼくは
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