君の街まで桜色のバスに乗って〜2004年初夏〜/はじめ
 
 君が死んでからもう二ヶ月が経つ
 僕は病院に行くために若草色のバスに乗る
 僕は19歳で喫茶店でバイトをしながら詩を書いている
 最近調子がいいんだ
 病院の帰りにメールが来て彼女から会わないかと誘われる
 この街の障害者自立支援施設で知り合ったのだ
 美容室の前で待ち合わせることにする
 空は心の底を突き破るように広がり
 暑さと早生まれの蝉の声がミンミンと震わせている
 君の街は人々で溢れかえっていた
 澄んだ気持ちが人々の隙間を埋める
 いつまで経っても君は来ない
 僕と同じくバスに乗って君の街へやって来るはずなのに
 事故でもあったのかな
 しばらくすると遠く
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