小説 『Is it no use crying over spilt milk?』(3)/宏
、逃げる場所になんかしないだろう。
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先輩はいつも優しかった。
大学時代、彼にはどれだけお世話になったことだろう。
なんでもすぐ投げ出しがちだった自分が奇跡のように毎日音楽にのめり込んでいる。
今も部屋に篭って黙々と作曲作業をしている所なのだ。両親は落ち着きのない私が家でじっとしているというだけで大騒ぎだ。(全く失礼な話である。)
まあ、実際自分が一番驚いている。先輩が楽譜すら読めない全くの素人に一生懸命教えてくれた音楽は今や、私の中で間違いなく大切なものに育っていた。
時計を見ると既に4時間が経過していた。曲作りも随分進み、明後日頃には先輩に聞かせることが出来るかもしれない。
自分の初めて作った曲。
どんな顔をして聞いてくれるのだろうか。
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