小説『Is it no use crying over spilt milk?』(4)/
 
時間は六時頃、多少のトラブルはあったもののほぼ定時で会社を出る事ができた。
めぐちゃんはそろそろ日課を切り上げている頃だが、家まで送ってあげる事くらいは出来るだろう。
昨日にも増して一段と冷え込む。空を見上げると厚い雲が一面に覆われている。今にも雪が降ってきそうだ。

彼女は雪が好きだった。
去年の今頃、僕は今のめぐちゃんのように毎日駅前に通っていた。そして彼女は今の僕のように、暇があれば聞きにきてくれていた。
雪の降る日は指がかじかんでまともに演奏する事は出来ず、聞きに来てくれる人は流石に少なかった。
そんな時は決まって彼女は、馬鹿みたいにでかい雪だるまを作りだす。
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