小説『Is it no use crying over spilt milk?』(8)/宏
大学時代、めぐちゃんはよく僕を慕ってくれた。
たいした腕も知識もなかった自分だが、初心者の彼女にはギターを弾く僕の姿はとても格好よく映っていたらしい。
バンドの真似事なんかもやっていて、月に一回は場所を探し身内ばかりのライブを行っていた。あまり人は集まらなかったがそれでも彼女は毎回足を運んで見に来てくれた。
彼女はライブが終わると必ず自分達に、メジャーデビューをしろと言ってきた。僕らも満更でもなく祭りの後の興奮も手伝って色々な夢物語を話し合ったものだ。
一日もたってしまえば僕は気恥ずかしくて、こんな話は冗談交じりにしか話さなくなっていったが、彼女だけは案外本気で考えていたのかも
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