小説『Is it no use crying over spilt milk?』(9)(終)/
 
会社に曲を持ち込んでみた。
結果、地道な努力と『歌えない作曲家』みたいなプロフィールがうけて、マイナーではあるが地元ではそこそこの有名人になってしまったのだ。

今届いたメールはアルバム発売のお知らせ。
彼女は諦めなかった。この数年間零れたミルクを集め続けて、今日それが一つの形になったんだ。
僕は未だにうだつの上がらないサラリーマンだし、いつか夢にみた立派な人間には程遠いけれど。

心持ち上を見上げて歩いてみる。


彼女が最初に作った曲、アルバムの題名にもなっているこの歌を思い出して

なんとなく


あのとき終らせてしまった夢が、還ってきたような気がした。
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