回線の断層/たりぽん(大理 奔)
部屋の電話線は
きっと
つながっているのです
耳をそえると
懐かしい雨音まで
聞こえてきます
ロウソク工場の煙が東へ流れて
小さな雑草の黄色い花が
激しく雨粒に
たたかれていました
荒地にしみこんでいった
錆色の面影も
くらい地層をくぐって
瞳の断層からあふれ出すのです
(そう、こんなにも透明になって)
伝えたいのです
あふれたものが育んだ黄色い花を
旅立っていった種たちの季節を
胸に鳴り続ける雨音のざわめきを
てのひらに
握りしめた
受話器の
いつか
つながる先へ
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