43、新世界 【しんせかい】/
雨宮 之人
いつかの 最も遠い昨日
空は霞み
遠雷は鳴り
燃えている その姿まさに暁
生まれいずる声を聞け
ありふれた誕生の発音ではなく
境界線を取り払え
そのものに 触れようと思うなら
満たされて 波打った水面(みなも)
流れる温もり その底の小石
きらめいたそれは 確かに微笑んだ
凝集し 濁り
そして渦を描いた塩基は
また再びの 黄昏に舞う
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