69、幸せ 【しあわせ】/雨宮 之人
幸せは、
と書きはじめようとして
私はそこで言葉に詰まって開き直る
敢えて語るほどのこともない 私は幸せである
自分の心が決める
とは誰が言った言葉だったか
それはなんだか
壁にかかっているイメージがあるのだが
ともかくも私は幸せである
もてあます生命を満たしたこの身体でいることが
国道の路肩でくたばっても、まぁそれはそれで
やがて訪れる明日が幸せと
拳銃の銃口を口の中に突っ込まれても言い放っていたい
私が消えたところで 幸せは常に人に寄り添う
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