クロッカスのおしべの山あいにて/もしゅ
 

 クロッカスのおしべの、奥の、山あいに、ぼうふらどもは、きめ細やかな、せせらぎをもち、沸く。

 そのせせらぎ、ぬわぁりぬわり。割箸太郎左衛門中を引っ掻き回そうとするも、ようどちんきに満たされたクロッカスのおしべの山なみは、潮を吹き、割箸太郎左衛門をこほりつかす。
 クロッカスのおしべの奥の山あいを照らす太陽が、ガッちゃんに一目ぼれする最波川の偽モグラであることに気づかず、割箸太郎左衛門はいそぎんちゃくを食らう。いそぎりん、ぎりん、ちゃ。いっそぎりんぎりんちゃ。海溝の中空で騒ぎまわる山葡萄のせせらぎどもの間で、一人のいそぎんちゃくの瞳が、葉巻吹かし、もやしの頭塗り込める。夕焼けに咲く
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