創書日和【海】アルモー海/大村 浩一
次の夜もアルモー海は
夜半にかけて彼の前に忽然と現れた
長辺 9.4km 短辺 5.7km 最大水深 5.5km 水温 40℃
船は1隻も通わず
巨神と女神が突然現れ
巨大な逸物と陰唇が垣間見え
水と泡が狂ったように空から全てを洗い
突然またも消え失せ 辺りは鎮まり返る
隣家で眠れぬ犬がずっと鳴いている
アルモー海は
いつも必ず現れるとは限らない
彼が玄関を開けてずっと待っていても
夜がしらじら明けてきても
「今夜は現れなかった」ということもある
そんな時はどこか別の場所に現れて
巨神と女神が豪雨を注いでいるのかもしれない
と思えば毎日規則正しく現れることも
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