創書日和【海】アルモー海/大村 浩一
 
ともある
その時は大抵夕暮れから夜にかけてだ


聞けば おさな児だった頃
彼だけの海があったという
とても小さいけれど 消えない海
それが裂けて消え去ったあと
アルモー海が間欠泉のように
現れては消えるようになったという


彼が亡くなると
アルモー海は現れなくなった
彼は一握りの白い砂となって
別のアルモー海の底に
深く沈んでいる


2009/8/29
大村浩一
   グループ"創書日和。"
   Point(6)