雨乞い/伊月りさ
いて、ひいて、
灰色の空に根が降りる
ひいて、ひいて、
岩の扉が開き
焦げた針葉樹になり遂げる
バババババババb
わたしのなかにサラ砂が積もる
こぼれ落ちず
まだ濡れている針葉樹林のうたは
山を越えられず
わたしを弔えずに泣いているのか
シリン
シュラリモン・キン
太い指
一弦だけなど・無理
と、否定するのはたやすいよ
針葉樹林は濡れない
わたしたちは泣かない
( 穿たれたいのはこの毛だったのかな、乳首の横の一本の、
キン・リン
大きな風に引っこ抜かれるために
雨雲をよび
白い電極が噛み合うために
噛みつか
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