【短歌祭】シンビジウム・ホワイト・ラバー/ピッピ
 
服来てローソンの壁に寄り添えば降ってる雪も味方にできる

あたたかいガラクタはない目が張って眠れないよと埋立地の上で

街灯のなくなった道何がクリスマスだペプシのプルタブあける

季節には似合わない色赤緑黄色人々歩いたり止まったり

若過ぎた 誰かの心を傷つけて通り過ぎてく颪のように

さかさまにおちる少女の夢を見たこれから何になればいいだろう



幻想はマッチを売った子のように独りの部屋に浮かんで消える

春のような笑顔を見せて君は死ぬいつか死ぬから僕も笑った

雪の精はかき氷器の内側で真冬に溜めた血を吐いている

間違って後ろの足で夏の日を踏んで壊していた冬の朝

夏、遠くのものが見える 冬、近くのものが見える鋭い世界



さよならを使わなかったよ 手を離すばかりの季節に取っといたから

   グループ"短歌祭参加作品(ピッピ)"
   Point(12)