「読んだものは読んだ」とは言えないのである。/ななひと
 
「読んだものは読んだ」とは言えない」。人はその文章を読んだからといって、その文章を読んだとは言えないのである、というのが今回のテーマである。このことは前回の「読んでいないものは読んでいない、ことはない」ということとは何ら矛盾しない。人は読んでいないものを既に読んでしまっていつつ、読んだものを実際には読んでいない、ということがあり得るのである。
「読んだ」ということについて考えてみよう。その文章を「読む」ということは、どういうことか。例えば、「あなたの文章を読みました。あなたの言いたいことはわかりました」と言う人がいるとする。その人に質問する。「あなたは何を読みましたか?どういうことがわかりました
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