「読んだものは読んだ」とは言えないのである。/ななひと
したか?」。するとその人は、その文章について、説明を始めるだろう。しかしここで彼は既に、間違っているのである。自分はその文章を「読んでいない」ことを告白してしまうことになるのである。
ちょっとわけがわからないので、内村鑑三先生に登場してもらう。どこで言っていた言葉かおぼつかないが、内村鑑三は、その翻訳論の中で、LoveはLoveで、それを「愛」と言い換えてはいかんのである、と述べている。なぜそういうことをいうかというと、英語の「Love」と、日本語の「愛」は、その言葉がおかれている位置が全く違うから、逐語訳的に「Love」があったからといって、それを、あ、これは日本語の「愛」だ、と訳しては、誤読
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