「批評」の「根拠」について/ななひと
 
いう作品に対してBであると言及することは、本質的に考えれば常に偽である。なぜならAはAであってBではないからである。ではA=Bは不可能であるか?といえばそんなことはない。私たちはある作品に対してこれはこれだ、と言及することは可能である。しかしここでしっかりと覚えておかないといけないのは「A=B」という言い方は常に、「A=B」と決めたから「A=B」なのである、という事実である。
 問題が抽象的なので、例をとって考えてみよう。ある作品に対して「この詩は美しい」と言うことは可能である。これはその「詩」を「美しい」という言葉で「言い換え」たということになる。これは「批評」として成り立っているだろうか?お
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