詩の言葉と拘束具/ななひと
 
させる能力)を発揮できないのは、この文章(紙片)が、そうした指示を伝える紙であるという属性を失っているからである。その代わりに、「窓を開けなさい」という言葉は、読む人に、想像の上で窓を開ける様子を思い浮かべさせる機能を持つだろう。当たり前のことにずいぶん紙片をつかってしまったが、一般的に、(もちろん詩にもいろいろあるだろうが)詩の言葉はどうだろうか。詩で、「太陽が照っている」と言えば、空が曇っていようが、そこが屋内であろうが、観客は想像上の太陽を俳優の上にあると思いこもうとするだろう。この場合、言葉は(指示対象性)を失っていると言えるだろう。これもなんのことはない、当たり前のことである。こうした、
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