アーカム・ハウスの詩の小部屋/佐々宝砂
待っているうちに、
背筋がちりちりしてきた。
正面の壁には食屍鬼の絵。
出されたコーヒーはいやに薄くて、
いつもは入れない角砂糖をひとつ落としたが、
ぜんぜん味がしない。
窓のむこう風がフルートのようにきこえる。
あれは風だ、風だ、ただの風だ。
風に決まっている。
ドアにノックの音、
それから、
顎の長い妙な顔したおちょぼぐちの男が、
するり音もなくはいってくる。
私は深く深くこれ以上ないくらい深く頭を下げて、
許しを乞い、
秘儀への参入を乞い、
イア! シュブ=ニグラス!
と叫んでみたがどうやらこれは違ったらしい。
狂えるバストの司祭ラヴェ・ケラフは、
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