「夕方の空には、今日が眠っている」/ベンジャミン
夕方の空には、今日が眠っている
そんな気がする
夜に溶けようとする入り口で
わがままな僕はうずくまる
何かを忘れている
そんな気がする
ひとりひとり
今日話したいろいろを思い出すとき
どうしても思い出せないことが
あって悲しい
オレンジ色を横切る鳥の
黒い背中は、まるで欠けた空
流れるように沈む地平線のどこか
忘れてしまった言葉は
眠っているから
「さよなら」と言いかけて
慌てて
「ありがとう」と言い直す
そうすれば
安心して眠れることを
いつの間にか覚えていた
前 次 グループ"タイトル長いー詩"
編 削 Point(9)