「Yシャツと君と、君のちいさなお願い」/ベンジャミン
 
そのちいさな身体には大きすぎる
僕のYシャツを着ている君


窓に浮かぶ思い出は
あの日ならんで歩いた砂浜

せまってくる白線をとびこえて
水しぶきをあげてはしゃいでいた

いま
この窓辺で
長すぎる袖をまくりながら
入り込んでくる風を白くふくらませて

君は
空を指さして

海だという


それはきっとちいさなお願いで
忙しすぎる僕への
ちょっとした不満なのだろうけど


海へ行こうかって
僕が言う前に


君も
君をくるんでいる
そのYシャツも

もううっすらと
青く透けそうに見えてしまう


白線のむこうに広がっていた
あの日の海のように
      
  グループ"タイトル長いー詩"
   Point(7)