「Yシャツと君と、君のちいさなお願い」/ベンジャミン
そのちいさな身体には大きすぎる
僕のYシャツを着ている君
窓に浮かぶ思い出は
あの日ならんで歩いた砂浜
せまってくる白線をとびこえて
水しぶきをあげてはしゃいでいた
いま
この窓辺で
長すぎる袖をまくりながら
入り込んでくる風を白くふくらませて
君は
空を指さして
海だという
それはきっとちいさなお願いで
忙しすぎる僕への
ちょっとした不満なのだろうけど
海へ行こうかって
僕が言う前に
君も
君をくるんでいる
そのYシャツも
もううっすらと
青く透けそうに見えてしまう
白線のむこうに広がっていた
あの日の海のように
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