十字架の空/千波 一也
 




貫いて、
まっすぐ空を貫いて
僕は僕の
生きてきた道を
証そうとしていた

この手を握りしめると
隠しようのない非力さが伝わって
けれどわずかに
意外な力も伝わって
僕は
僕以外のものになどなれないのだ、と
ただまっすぐに
苛立っていた

そこへ
急な角度で現れたのは
君だったね
あり得ないほど自分勝手な生き方で
笑わせたのは君だったね

真一文字に
雲が流れていった
はじまりの、
あの夏

僕に守れる
ものがあるとしたら
きれいに
理由を飾りつけて
守りの一切を放棄しようとする僕を
見逃さないことだ

守ろうとする
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