そうでございます。
わたくしの一生に一度の我儘を聞いてくださいますでしょうか。
お願いでございます。
わたくしが息絶えたら、あの丘に咲く桜の木の下に亡骸を埋めていただきたいのです。
桜の君が毎夜訪れるあの木の下に。
今年の花が散って、あくる年のこの季節、
再び桜が咲く頃には、
わたくしの血と、桜の君への想いが花びらを、
あの真白な花びらを薄紅に染め上げ、
あのお方の上に降り注ぐでしょう。
そしてわたくしはずっとあのお方のお側に。
死が桜の君の時を止めるまでずっとお側に。
そして、
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