薄紅桜物語/三架月 眞名子
 
て、
幾年も幾千歳も、
あの桜の色を絶やさぬように、あの木の下で眠り続けます。
いつかまた、桜の君と出会えることを夢見て。

どうぞわたくしの我儘を、
最後の我儘を聞き入れてくださいませ。

―姫様・・・
 わかりましたわ。
 わたくしが必ず、
 必ず願いのままに。


ありがとう。
まぁ、どうか涙などお流しにならないで。
わたくしは幸せ者なのですよ。

嗚呼、
本当に、わたくしはなんという幸せものなのでしょう。
もう思い残すことは何もありません。
私のただひとつの、
永久にただひとつの願いが叶えられるのです。
ありがとう。
本当にありがとう・・・

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