薄紅桜物語/三架月 眞名子
 

毎夜、桜の木下で逢瀬を重ねたあのお方。
今は桜の君と申しましょう。
でも、わたくしたちは引き離されてしまいました。
桜の君にもわたくしにも、
お互いに別の人が宛がわれてしまいました。
桜の君にはもう会うことはないでしょう。

―・・・


わたくしは囚われの身になりましたが、
最後の晩に、桜の君はおっしゃったのです。
 わたくしは毎晩桜の木に逢いに行く。
 そして一日たりとも忘れずにあなたのことを思い出す。
そうおっしゃってくださったのです。
わたくしはその言葉に支えられて今日まで過ごしてきました。
ですが、あ
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