薄紅桜物語/三架月 眞名子
 

今年もこの季節が巡ってきたのですね。
たぶんこれが見納めとなるのでしょう。


―そんな事はおっしゃらないでください。
 来年は元気なお姿で、
 また御覧になれますよ。


いいえ、そのような気休めはいりません。
散るがわたくしの定めでございます。
でも最後に、あなたにだけ打ち明けごとをいたしますわ。
聞いていただけるかしら。


―はい、なんなりとおっしゃってください。


ありがとう。
わたくしにはお慕い申し上げていたお方がおりました。
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