月輪譚/
朱雀
一夜続いた新雨も上がり
濡れた草生(くさふ)に仰(の)い伏したれば
眩(まぐ)れ入るのは暁月夜(あかつきづくよ)
古人(いにしえびと)の眼前に
甚だしくも悠然と
息呑むほどの眉目姿(みめすがた)
日ごと離(か)れゆく寂しさに
嘆きの霧は晴れ退(の)かず
幾千代千夜 重ねた先は
星斗となりて消え行かん
とどのつまりは太陽の夢
吐息は猶予い狂気(ルナ)と化す
冷光纏い魂魄(こんぱく)だけが
月に憑かれて月読(つくよみ)に就く
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