「少年と星座盤」 (物語・・・短編)/ベンジャミン
 
い返してきました。

僕は、そういうことを言い合うつもりはないのだけどなぁと思ったのですが、それは口にしないことにしました。なぜなら少年の視線はずっと空のほうを向いていたので、何を言っても無駄なような気がしたからです。ですから僕は、
「あぁ、それなら朝にはきちっと戻って来るんだよ。君は心配でなくとも、君を心配する人はいるものだからね。」と言ったのですが、少年はやはり「ふっ」と笑って、急に駆けだしたかと思うと、両手をいっぱいに広げて大きく息を吸い込むようにようにしながら、その息を吐き出すのと同じような調子で両手をすっと羽ばたかせると、不思議なことに、あっというまに隣のビルの三階あたりまで浮き上
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