「少年と星座盤」 (物語・・・短編)/ベンジャミン
 
き上がって、僕を見下ろしていました。そして、
「道を知る者は、その道を信じて進むものです。」と言い残すと、さーっと飛んでいってしまいました。

僕はもう、きつねやらたぬきなどにばかされたような心地で、ふらふらと家に帰ったのですが、その夜はたいそうきれいな三日月の晩で、よーく見るとその三日月の端っこあたりに、あの少年が一休みしているような気がしてなりませんでした。
僕は、あのときの少年と同じように、両手をいっぱいに広げて大きく息を吸い込んで、そしてその息を吐くのと同時に両手をばたつかせたのですが、あの少年のようには飛べませんでした。けれど、その夜に見た夢の中で、僕は少年と一緒に星座盤を手にしながら、あの大空を気持ち良さそうに飛んでいました。

自由とはそういうものかもしれないなと思いながら、朝、目が覚めても、僕は見えるはずもない星座の座標点を心の中に浮かべていました。
  
  グループ"散文集"
   Point(7)