「少年と星座盤」 (物語・・・短編)/ベンジャミン
ぁ、君はそのお菓子を持って何処かにお出かけかい?」と、これはちょっといきなりすぎて失礼かとも思ったのですが、少年は、
「日が落ちればわかることですよ。あなたにもね。」と、子供らしくない雰囲気で返事をしたので、僕はむきになって、
「夜に出歩くのは危険じゃないかい?」と、少年を説き伏せるように言ったのですが、少年は、
「危険なのは道を知らないからでしょう。ごらんなさい、もうじき日が落ちて、この空いっぱいが何のへだたりもない道となるのです。点在する星々は空間座標として道しるべとなります。ここいらでは交通事故も怪しげな人も心配でしょうが、そこではそんな心配もいらないのです。」と、もっともらしく言い返
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