たもつさん「サイレン」を読んで(感想文)/ベンジャミン
 
だるみしてしまいそうな場面の移り変わりをさりげなく演出しています。
そしていよいよ最終連(4連目)に突入するわけですが、ここでまさに鍵をにぎる言葉が出てきます。

「君の記憶のほんの僅かを
 僕は自分自身の記憶として引き継ぎ」

4連目の頭二行に出てくる「記憶」という言葉、その「記憶」という言葉で、冒頭の「覚えてる」という切り出しからの一連の場面を、時間的なずれも飲み込んであたかも一枚の絵のようにくっつけてしまっているように感じました。
各連はけして冗長に語られず、それぞれ完成しない絵のようであるのに、通して読めばそれが一枚の絵のようになっている。しかもその絵は、読み手である僕自身が
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