ピュグマリオン/佐々宝砂
て
まだ
命令が聞こえて
絵描きを殺せ!
黄色い膿汁が
腫瘍の目立つわたしの腕から垂れ
腫瘍は濃紫に腫れ上がり
膿汁はしずく垂れしずく垂れ
ぜいぜいと不規則に
心臓は波打ち
絵描きは
まだ
生きていて
生きていてほしくて
わたしは
上目遣いで
キャンバスを眺め
命令に逆らい
描かれた女を切り裂く
わたし自身の血が
わたしを汚してゆく
3.
生きている!と彼女は叫んだ、
けれど声は出なかった。
クリスマス・ツリーに飾られた電飾のような、
いろとりどりの光が見えた、
遠いところでたくさんの人が合唱しているような、
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