渦巻き/アンテ
うとすると
たちまち見失ってしまうけれど
一定の早さでわたしを動かしつづけてくれる
そんなゼンマイに憧れた頃があった
なにもしなくても生きていけると信じていた
ねじを巻いたエネルギーと同じ量しか
ゼンマイは仕事をしない
だなんて
だれも教えてくれなかった
体を丸くする
渦巻き
の形を真似ていると落ち着く
カタツムリのように
立体駐車場のように
思いもしない時に
だれかがスイッチを押してくれることがある
綺麗に収まってしまった後
淋しくなるのは
わたしがまだ完全な渦巻きでないせいだろうか
一刻も早く
渦巻きにならなければ
何度も何度もボタンを押さずにはいられないくらい
何度も何度も中身を引っぱり出したくなるくらい
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