鳥/アンテ
た
空の高いところを
たくさんの鳥が舞っていて
くぅるるる
時折かすかに鳴き声が聞こえた
電話をかけつづけるべきだっただろうか
待っていればあいつの方から来てくれただろうか
そんな弱気を追い払って振り返ると
かすかな部屋の明かりが
何度かまばたきする間に
ぷっつりと途絶えた
このまま
死んでしまいたくない
涙がだくだく流れだして
一歩も進めなくなった
なぜ死にたくないのだろう
なぜあいつに逢いたいのだろう
そんな疑問が順番に浮かび上がっては
わたしの外側へ出ていった
月を振り仰ぐと
澄んだ光が降りつづけていた
目を閉じてじっとしていると
静かな眠
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