鳥/アンテ
た
あいつはつかまらなかった
鳥保険に加入していないから
自分で探すしかない
セックスに耽るのは
あまりお勧めできませんよ
鳥が親切に忠告してくれた
身体のなかに杭が残って
現実から離れられなくなるのだそうだ
まあ みなさん後先考えずに
あとで後悔するんですけどね
しゃべりつづける鳥を
布袋に詰め込んで
書類をキッチンで燃やすと
一見なにもなかったことになった
外に出ると
月の光が大地を包み込んでいた
ほかに明かりはひとつも見あたらなかった
暗闇をとにかく進みながら
あいつの名前を何度呼んでみても
返事はなく
空気がビリビリと震えるだけだった
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